ちょうどよく、センスよく

玄関を開けると、まず目に入るのは、コンクリート打ちっぱなしの壁。無機質な質感にやわらかな光が差し込み、美しい陰影がふわりと浮かび上がります。

クールな素材のはずなのに、どこかあたたかな印象に感じるのは、日当たりの良さのおかげかもしれません。

床は、やさしい色味のフローリング。
そこに、大きな造作棚や、壁のようにも見える木製の引き戸が組み合わさっていて、ちょっとショップのような空気感も。

この棚、可動式ならもっと便利なのかもしれませんが、ピッチが決まっているこの感じが大事なんです。リズムよく並んだ棚板が空間をシュッと整えてくれるというか、“おさまりの良さ”はこういった細部のデザインからきているんだと思います。

広さは約40㎡。間取りとしては1Rですが、空間はゆるやかに分かれています。木製の引き戸は広範囲にスライドできて、ベッドスペースとリビングを仕切ったり、棚やキッチンを隠したりと、“見せる”も“隠す”も自由自在。

リビングにはダイニングテーブルとソファを置いても、まだ余白が残るくらいで、ひとり暮らしにはちょっと贅沢なサイズ感です。
家具が少なくても様になるし、たっぷり置いても不思議と整って見える。もともとのデザインが効いているからこそ、どんなインテリアも受け入れてくれる。そんな懐の深さが、この部屋にはあるんじゃないでしょうか。

場所は、地下鉄「薬院大通」駅から徒歩4分。
おしゃれなカフェもあれば、昔ながらの定食屋もあって、裏通りには個性的なお店が点在し、散歩のたびに、新しい発見があるような場所です。

そんな薬院の街にある、この「ちょうどいい」部屋。
背伸びしすぎず、でも少しだけセンスを効かせて。

そんな暮らしが、ここからはじめられそうです。