静寂のコンクリートダンジョン

桜坂の坂道を上った先、斜面を巧みに活かして建つ4階建ての集合住宅。

頂上側の道路から眺めるだけでは、その実態は謎に包まれ、ひそかな好奇心をかき立てられる建物です。実際、「前から気になっていた」という物件マニアも多いのではないでしょうか。

エントランスから内部へ進んでみると、小路や中庭が複雑に入り組み、まるで迷路のような構成に驚かされます。3つのコンクリート棟がカクカクと連なり、まさにダンジョンのような雰囲気。

建物のデザインはコンクリートの無機質な表情を基調に、赤や黒の鮮やかな差し色がところどころに施され、モダンアートを感じさせます。

特に印象的なのは、建物全体を包み込む静寂。一般的にイメージされる「コンクリート・ジャングル」とは正反対で、都会の真ん中とは思えないほど、穏やかで静かな時間が流れています。

室内は玄関からキッチンにかけて、土間のようなタイル張りの床が伸び、あえて玄関の「タタキ」を設けないことで、空間の自由度を高めています。内装はシンプルで、個性的な外観から一変、落ち着いた空間になっています。

桜坂駅までは徒歩3分。坂道はややあるものの、利便性の高い好立地。落ち着いた周辺環境とのバランスも魅力的です。ただ、敷地内駐車場に空きが無く、この周辺はなかなか近くに月極駐車の空きもないため、注意が必要です。

日常の喧騒を忘れ、静寂と遊び心が共存するコンクリートの迷宮へ。
特別な住空間が、ここにあります。