大ベテランの境地

傾斜地で緑豊か。そして閑静。
ここ桜坂のイメージを体現するように、ゆったりと佇む集合住宅です。

高台にある建物は、生い茂る木々に周りを囲まれており、影絵が映る外観や室内からの眺望、敷地内に設けられた森のようなスペースなど、緑からの恩恵は多岐にわたります。

50年を超える月日を歩んできた大ベテランでもあり、「余裕」とか「ゆとり」という次元を超えた「悟り」の境地すら漂う空間。人間と同じく、素敵な年の取り方をされてきた証拠ですね。

室内は昔ながらの2DK。

和室からフローリングへの改修や、温水洗浄便座の設置など、ごく一部のモデルチェンジはありますが、設備や表層、間取りについては、良くも悪くも時代を感じる作りです。

「昔は、この部屋に夫婦で暮らしている人ばかりだった。たまに、小さなお子さんがいる世帯まであったりしてね」と語ってくれたのは、当建物の大家さん。

時代の移り変わりとともに、我々の生活様式は変化してきましたが、このお部屋を眺めながら、かつての暮らしに思いを馳せてみると、温かく優しい空気に包まれるのは、私だけではないような気がします。

それは、現代社会が定義した幸せのテンプレートとはまた別の、我々が本当に求めるべき幸福のあり方のなのかもしれません。

お部屋は単身〜2人暮らし用のサイズ感です。また、EV無し階段４Fの為、登り降りがやや辛いこと、洗濯機置き場がバルコニーにあること、洗面台が小さめという3点は、人を選ぶポイントになり得ますが、駅近の立地を考えると、移動の面では優秀な部類と言えるでしょう。

ただ、こんな感じに甲乙つける行為自体、あまり似合わない物件といいますか。ほんと無理言って申し訳ないのですが、100％フィーリングで選んでほしい感じです。

ちなみに、駅からの道のりは坂が続くのですが、これを絶対的に「悪」と捉えてしまう方には、正直合わないような気がしています。

早歩き気味に過ごす毎日にあって、この坂を通るたびに「ちょっとペースダウンしよう」と思うことができる。

なんて、少し妄想が過ぎるかもしれないですが、そんな風に捉えてもらえると素敵な毎日が過ごせるのではないでしょうか。

築浅やリノベを売りにしたお部屋には真似したくても真似できない、そんな境地に「建つ」素晴らしい物件だと思います。