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2009.2.18

未内装物件はどう選ぶ?!魅惑の原石の探し方

 
中古マンションを購入して改装、こだわりの空間を手に入れたい。

巷にあふれる新築マンションやリフォーム済み中古物件のベタっツヤっとした感じにどうも納得できない。それなら未内装物件を安く購入して自分好みの空間に改装してしまおうかな、と考えてみるのも自然と浮かぶ選択肢の一つ。とはいえ、未内装物件ってどんな視点で探したらいいのだろうか。不動産屋さんに行って、「未内装物件探しているのですが・・・」と言っても話が通じないだろうし、「リノベーションしたい」と言っても新築マンションに似せて改装し、「リノ・・・・」と高らかに宣言されたリフォーム済み物件を紹介されてしまうのがオチ。そこで、今回はリノベーションを仕事としている建築家さん・デザイナーさんが実際に自邸に選んだ未内装物件と、こだわりの空間を手に入れるまでの経緯を取材してきた。

ファイルⅠ 今泉のマンション(購入時:築32年/69平米/3DK)

無垢のフローリングと、真っ白に塗られた壁・天井。杉板の優しい足触りと白いキャンバスに軽やかに光が回り込んだ空間は、なんともホッと落ち着く印象だ。ここは相良友也建築工房の相良さんが2006年に購入し、改装した自宅。現在は自宅兼事務所として使っている。


写真左:外観の丸い枠がなんだかいい感じ。 写真右:程々に抜けているので、明るさと開放感も確保。これが気に入った。

購入に至る経緯を教えてください。

それまで賃貸マンションに住んでいたのですが、毎月の家賃を捨てていくのはもったいないなと思い始めました。とはいえ新築マンションに住むのは想像できない。あの雰囲気はちょっと・・・。(笑)そこで自然と中古マンションを探し始めるわけです。物件を探した条件としては、価格⇒広さ⇒環境/利便性という優先順。この今泉のマンションは、以前から丸いバルコニーの枠が面白いなと気になっていたのですが、その頃タイミングよく売りに出されたので見に行きました。気に入ったのはサンサンと部屋に降り注ぐ陽射しと程よく抜けた眺望。天神徒歩圏なのに、道が細く入り組んでいて、古い戸建が残っている今泉では、今後も大きな建物が建つリスクも少ないと思いました。ただ、改装に当たって、この壁は取れるのか?この梁は邪魔そうだな、など見た目でわかる部分はありますが、実際には壊してみないと全貌が把握できないので、もちろん多少の不安はありましたね。


改装前の室内。こんな状態で売りに出されていた。

改装するときのお話も聞かせてください。

費用を抑えるために、友人に協力してもらい、自分たちで解体しました。本当はすべてやり変えたかったのですが、予算に応じて風呂とトイレだけは触らないことに。それ以外はスケルトンにしました。夫婦二人だったので、ゆるやかに仕切れるベッドルームだけ分けて、開け放てばワンルームにできる設計です。眺望の抜け感という物件の長所もドーンとワンルームにしたときに一層引き立ちます。素材としてこだわったのは以前仕事で使ったことのあった杉の無垢材を選んだことです。

実際住んでみてどうですか?それから今後の計画などもあれば。

やっぱり杉のフローリングが気持ちいいですね。柔らかくて足あたりがいいし、冬でもひんやりしない。だからお客さんにもスリッパを出さないんですよ。塗装にした壁や天井にできる光と影の対比がキレイなのも気に入っています。あと、うれしい誤算ですが、来月双子が産まれるんです。さっそく手狭になりそうですが、子供が小さいうち、自分たち夫婦が若いうちはこの家で楽しんで、ゆくゆくは戸建を建てたいな、と漠然と考えています。


画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。

相良友也建築工房
http://www.sagara-arc.com

ファイルⅡ 赤坂のマンション(購入時:築26年/74平米/3LDK)

天井から吊り下げられたピンクの大きな引き戸。白を基調とした空間にきれいに整理された建具や収納のライン。室内でも土足使用のライフスタイル。このどこか日本離れした住居は舞鶴公園を背に建つレトロマンションの一室、mission.Inc/E&Y Fukuoka代表水上さんの自宅だ。

物件を購入された2000年ごろってまだリノベーションって言葉もあまり使われていなかったですよね?

なかったですね。リニューアルって言っていました。元々、新築マンションにはどれも興味をもてませんでした。それはなるべく多くの人に受け入れられるように均一化、設備化したのだがら仕方ない。1980年代築の物件にしてもタイルを貼りたくったギラギラした仕様で好きになれない。それよりさらに古い物件になるとニュートラルなデザインになってきて、受け入れやすいという印象でした。


左写真:裏に舞鶴公園を背負う。 中写真:共用部でも緑を近くに感じられる。 右写真: 上層階からの眺めは圧巻。

どんな基準で物件を探したのでしょうか?

まず職場のある天神への利便性が良いこと。それから緑があって、将来的な不安がないこと。将来の売りやすさ/貸しやすさというのも考えました。最初に見たのがこの物件。ここは表と裏の両面が緑に面していて、さらに両隣も敷地の性質上大きな建物が建つ可能性が少ないんです。一発で決めてしまったので、タイミングですかね・・・。窓の外には緑が広がっているし、住人に開放されている屋上からの眺めは圧巻です。大濠公園の花火大会も屋上からバッチリ。


事務所使用だった改装前の室内。ボロボロでした。

スケルトンに解体した状態。

緑があると、気持ちがいいだけでなく、安心感もあるわけですね。改装するときはどんなことに注意されましたか?

10年経っても変わらない在り方というのを考えました。デコラティブに作りこみすぎても飽きが来るので、白を基調としたシンプルな空間にしています。家具の入れ替えだけでも大きく印象が変わりますよ。住み始めて約9年になりますが、これまでに一度塗装をやり直しただけです。

改装後のメンテも大事ですね。今後の計画なども教えてください。

うちに遊びに来た友人がこのマンションを気に入って、2件同じように改装して住んでいます。改装した部屋が増えていったら面白いですね。個人的には家族が増えたりライフスタイルが変わったりしたら、またその時の考えで新しい住居を探そう、くらいに考えています。


mission.Inc/E&Y Fukuoka

まとめ

今回取材させていただいた2つの住居。2つとも、改装費を入れても2000万円以内でできている。これは同じ場所で新築マンションが売り出される場合の半分くらいの金額だ。手頃である分、ローンを組むにしても期間が短く重圧も少ないし、"今を楽しむ"という感覚で手に入れている。生まれ変わった姿を見てしまえば改装前の姿は想像し難いけれど、元はどれもほこりをかぶったボロ物件だったのだ。要は作りたいモノ、欲しいモノを素直に考えてみるのが始まり。絶対欲しいモノ、あったらいいモノ、いらないモノ。予算や条件に応じて付け加えたり、削ぎ落としたり。少なくとも与えられた均一品よりは楽しく、そして満足できるはず。こんな視点で物件を眺めてみると、今までピンと来なかった物件に、急にトキメキを覚えてしまうかもしれない。未内装物件探しはガラクタの山の中から磨けば光る原石を拾い出す「宝探し」のようなものだ。

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このブログについて

海も川も緑も、そして街も空港も、なんだってすぐそこにある福岡。東京から移住して、気づけばその魅力を満喫すべく、会社を立ち上げたり、倉庫のような物件を改装してオフィスにしたり、果てには芥屋の海沿いに土地を買ってしまったり。徐々に増えていく福岡R不動産のメンバーとともに、この街の魅力を再発見する日々を綴ります。
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著者紹介

本田雄一
長谷川繁
坂田賢治
松尾隆文

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