こんなところに美容室?!と誰もが不意を衝かれてしまう立地にオープンしたのが、「鏡のないトコヤ」というコンセプトの美容室-トコシエ-だ。
福岡R不動産で「桜坂に堂々と」というタイトルで募集していた物件で、閑静な住宅街「桜坂」の曲がりくねる坂道の中腹に位置する戸建。一見すると平屋のように見えるが、実は見えている部分は2階で、その下にオーナーさんが住む1階住居部分がある。
トコシエの店主永友さんにここでお店をオープンすることになった経緯を伺ってきた。(というと取材っぽいが、実際には髪を切ってもらいながら、空間や眺望を堪能し、談笑した形)
「独立するために店舗物件を探していて、この物件を見る前に別の美容室居抜き物件に決めかけていたんです。そこは人通りも車通りも多く、いわゆる王道的な店舗立地でした。でも、お店のコンセプトや作りたいイメージを考えていると、やっぱりなんか違うな・・・・というわけでもう一度探しなおすことにしたのです。」
そして、永友さんは福岡R不動産で募集していたこの物件に出会った。桜坂は高台にあるため、眺望がよく緑も多い住宅地。この物件の特徴も、VIEWの良い谷方面に抜けた窓と、平屋のようにかわいらしい佇まいの建物だった。
「景色が良いのが気に入りました。でも、美容業界の人に相談すると、そんな場所で美容室が成り立つ分けない!と厳しい見方でしたね。」
素人目にも、人通りが少ない(通りがかる場所ではない)のはわかるし、集客力があるのかと聞かれれば、難しいと考えてしまうかもしれない。しかし・・・
鏡のないトコヤ-トコシエ-のコンセプトにはこう書いてある。
理容室にはもちろん鏡は必要だ。しかし、お客様が鏡を見なくても安心して、理容師に委ねてリラックスできる。はさみが鏡になる。そんなトコヤを目指したい。
街中の騒がしいところではなく、リラックスできるところ。そう考えると、この物件はまさに永友さんのコンセプトにぴったりだったわけだ。
カット中、鏡越しに緑が見えるのはやはりリラックスできた。 そして、ぼくにはもう一つ気になることがあったので、聞いてみた。下にはオーナーさん夫妻が住んでいるけど、音の問題などは気にしてないだろうか。
「オーナーさんとは仲良しですよ。改装中も毎日おやつ差し入れしてくださって、応援してくれてます。ご主人は改装中にも関わらず、もう2回もカットしましたよ。奥さんも、今日パーマの予約入ってます。」
どうやら心配は無用でした。
ちなみに、これまた偶然ですが、永友さんが内装を依頼したのも、前回レポートした「群青」を担当したインテリアデザイナー古庄和也さんでした。
いまどきのオシャレな美容室とは一味違ったトコヤさん。皆さんもお試しあれ。 -トコシエ-
福岡市中央区谷1丁目3-2
「馬屋谷」バス停前
電話/092-741-5022