幸せの裾の再生物語【前編】

那珂川市といえば、福岡R不動産でも長年にわたり中山間地域の移住促進をお手伝いさせていただいていた思い入れの深いエリア。そこから少し市街地に寄ったあたり、多くの住宅が広がりを見せる山田地区にて、一軒の中古住宅が引き継ぎの時を迎えています。

高台の恩恵たる眺望や緑豊かなロケーションもさることながら、約137坪もの敷地面積がゆったりとした気持ちを誘発します。法面が多く含まれるので、「新たに建築する」という状況を踏まえると、より専門的な調査が必要な土地ではありますが、せっかくの那珂川暮らしにおいて、このゆとりを求めずなにを求めようか、という感じです。

売主は数年前、本物件を未改装状態にて購入し、水まわりや床の更新、屋根の葺き替えなど、生活の基盤となる箇所を中心にリフォームして暮らしています。その分、予算をまわせなかった表層仕上げの部分など、DIYを目論んでいましたが、なにを隠そう働き&子育て盛り（お子さん3人！）なご夫婦でして、思うようにいかないこともありますよね。

言わば、道半ばの再生計画。綺麗に手が入っている箇所もあれば、中途半端に手が入っていたり、全く触れていない箇所もあったりと、チグハグな印象は拭えません。ただ、冒頭で「引き継ぎ」を強調したように、残された伸び代だけを上手に買主へ託そうとしている、とも言えるわけで、購入者側の立場にあっても恩恵を感じやすい物件と言えるかもしれません。

なお、材木店にお勤めのご主人らしく木がふんだんに使われた内装はクセがないうえ、現状でも普通に生活できる状態ですので、DIYをライフワークとして生きていきたい人にとってのスタート地点としてももってこい。表層の補修や仕上げ、あとは建て付けが悪い箇所が多いので、個人的に手を入れるとしたらそのあたりでしょうか。

ちなみに、坂道を降りるように最寄りのコンビニまで歩いてみたのですが、拍子抜けするくらいあっという間に着いてしまいました。もちろん、「那珂川市」と聞いてイメージする不便さを美徳と捉えての逆説的な感覚ですが、最寄りのバス停や市内中心部までの距離なども含め、中山間地域と比較してもより利便性に優れているという点は、このエリアならではの強みと言えるでしょう。

一方で、道中流れている小川に目をやれば、感動するほどの透明度に驚かされます。その光景はきっと、山間部から流れ着いた幸せのお裾分けであり、これから誰かが始める再生ストーリー【後編】にとって大きな原動力となってくれるはずです。

※売主居住中につき、内覧には事前の日程調整が必要です。