ノスタルジックは突然に

赤坂と天神のあいだをつなぐ、にぎやかなグルメストリート「上人橋通り」。小さな飲食店が肩を並べ、昼も夜もおいしい匂いと人の気配が絶えない通りには、福岡らしい親しみと熱気がほどよく混ざっています。

そんな活気ある上人橋通りから、ほんの少し裏に入ったところに、ひときわ静かな木造の建物がそっと息づいていました。

縁側に格子戸、和室が広がる木造建築。建物の前に立ったとき、「この場所に、まだこんな風景が残っていたんだ」と思わず見入ってしまいました。場所を知らなければ、ここが都心のまんなかだなんて、きっと信じられないと思います。

古民家らしい落ち着きはそのままに、室内は綺麗な状態を保っています。梁や建具もレトロながら、水まわりの淡いタイルやアーチの鏡もさりげなく可愛らしい。ほっとできる、居心地のいい空間です。

このままでも十分魅力的ですし、改装して自分らしさを足していくのも楽しみのひとつ。変えすぎずに“らしさ”を残したまま、そっと更新していくような使い方が、よく似合いそうです。

特に注目したいのは、ここが「店舗区画として募集されている」ということ。住居としての古民家はときどき見かけますが、店舗OKで、しかもこのエリアで、というのはなかなか貴重。ギャラリーやサロン、物販など、アイデア次第で思わぬ魅力を引き出せるような空間です。来る人にとっても、いい意味で印象に残る場所になるかもしれません。

都心のまんなかで、ぽっかりと時間がとまったような場所。都市の隙間にあるこの余白が、これからの物語を受け止めてくれる気がします。

ノスタルジックは、いつも突然に。その不意打ちのときめきから、何かがはじまるのかもしれません。

※建物面積：1階部分:127.38㎡、2階部分:80.99㎡
※築年数は不詳です。
※飲食店は不可。業種は詳細ご相談いただき、最終的にはオーナー様の判断となります。