今回ご紹介するのは福岡のベイエリア。といっても、実は福岡の中心部で身近に海を感じながら生活できる地域は非常に限られています。それは福岡市中心部の沿岸部には古くから漁港や埠頭が多く、生活の場としては発展してこなかったから。また、近年作られた沿岸付近の新しい街並みの中には、味わいや個性を感じられる物件が少ないこともあり、福岡R不動産で海の近くの物件を紹介しているのは今のところ一部のエリアに限られています。当然、都心部から離れるごとに海はキレイになり開放感も格別ですが(以前の糸島エリア探訪コラム)、あえて都心部で海とともに暮らすという選択をするなら・・・ということで今回は港エリアを紹介します。
都心に最も近い漁港である博多漁港の西側に位置するこのエリア。中心部の天神から直線距離で2kmほどですが、すっかり街は表情を変えています。湾内には小振りな漁船が停泊し、倉庫街の一角には巨大なクレーンが立ち並ぶ造船所、その向こうには都市高が通る斜張橋、と目に飛び込んで来る風景は一見とても人工的。
それでも、スケールの大きいものに囲まれて時間の流れが遅くなるような感覚と、海の近くだからこそ感じられる開放感とが相まって、ここに来るとなんだかゆったりとした気持ちに。湾と建物の間には公園や道路があるので、完全な「海沿い」物件はほとんどないものの、だからこそ、そこだけぽかんと空いたような空間ができて、空が広く陽の当たる時間が長く感じられるのも、このエリアならではかもしれません。
新陳代謝の激しい都心部に比べると、そこにある建物の移り変わりやテナントの入れ替りも非常にスローペース。訪れるたびに新しいお店がオープンなんてことはありません。いつ来ても変わらない安心感があるのは、変化が当たり前の時代だからこそ貴重な価値ではないでしょうか。
とはいえ、少しずつ新たな変化も生まれています。例えば造船所を臨む場所にひっそりと佇む築40年の民家を家具職人とスタッフさんがリノベーションしたカフェ「breath(ブレス)」。古い木造建物の骨組みを活かしつつも、外の景色が見えるようにと壁に大きな窓を設け、この場所でしかできない空間を作り上げています。他にも福岡R不動産で借りていただいたケースで、元食堂をカメラマンさんがスタジオにしたり、設計事務所さんが古ビルを自分でゆっくり手を加えながらオフィス使用していたり。
ゆっくり、無理をせず、自分のペースで。ここに来るとどうやら自然にそんな気持ちになるようです。
地下鉄の駅やバス停までは距離があるのと、比較的古い物件が多いので、賃料相場は抑えられているのも魅力の一つ。少し離れた長浜付近のタワーマンションから一望する景色も捨て難いものの、狙うはやはり港最前列でしょう。時間の空いた平日にふらっと一人で来てみると、なんとも言えない心地よさを味わえるはず。
ちなみに、港エリアに近接する長浜エリアでも面白い動きが増えています。
ショップがストリートを変える~新長浜横丁~