昨年、予想を上回るたくさんのご応募をいただいたトライアルステイ「ちくご暮らし」。今年も実施が検討されているので、ちょっとだけお知らせしちゃいます。
昨年のトライアルステイ体験物件の中で、最も人気が高かった物件。360度緑ビュー! 昨年の夏から秋にかけて行ったトライアルステイ「ちくご暮らし」。筑後地域の空き家に2~3週間500円+水道光熱費で滞在できるというプロジェクトは大好評で、定員20組に対し約100組の応募をいただきました。(応募いただいた皆様、ありがとうございました!)選考された20組のご家族がモニターとして7物件に滞在し、移住体験を行ったわけですが、体験後に行ったアンケートやインタビューでも、予想以上に高評価をいただき、すぐに筑後への移住・二地域居住を決定したご家族も出ました。
そこで今回は、昨年のトライアルステイの様子を振り返ってみようと思います。今年もトライアルステイ実施が検討されているので、ちょっとだけお知らせもしちゃいます。
トライアルステイの流れ
まずは、トライアルステイにモニターとして参加していただいた際の流れについてお話ししましょう。
八女市福島エリアの体験物件。再生された白壁町家に滞在できました。 応募いただき見事選考された方は、当選した物件に2~3週間の決められた日程で、好きなだけ(最低5日以上)滞在することができます。
入居当日は、福岡R不動産のスタッフと各市町の行政担当者が立ち会い、物件の使い方を説明したり、エリアの特徴やオススメのお店、場所をレクチャーしたりしました。
また、物件によってはオーナーさんが近所に住んでいるため、その場合はオーナーさんもご紹介しました。これがなかなか体験者には良い機会で、地域の人とコミュニケーションできて、ここでの滞在が濃くなるきっかけになります。中にはオーナーさんとバーベキューしたり、食べ物をもらったりという関係になる方も。(ちなみに、各物件は基本的に個人オーナーが所有する空き家で、期間中だけ事業実施主体の「筑後田園都市推進評議会」が借り受けています。)
入居日の様子。物件や地域の説明をしています。 入居後の過ごし方は、モニターさんによって本当に様々。福岡都心部から参加している方は、期間中ずっと滞在してそこで仕事をしたり、電車や車で通勤をしたり、または週末の度にやってきたり、といろいろな滞在の仕方を試していました。県外から参加される方は、基本的に毎日滞在してエリアをじっくり楽しむことが多かったです。
体験中の過ごし方は自由。冒険にお出かけ? そして、やはり筑後地域に暮らす一番の醍醐味はダイナミックな自然環境。森の中に建つログハウス、見渡す限り田園風景の農家住宅、再生された白壁町家、築240年を超える伝統的古民家などの魅力的な建物を拠点に、山や川に遊びにいったり、バーベキューをしたり、毎日銭湯に通ったり、おいしいお店を探したり、静かな家でのんびりしたり、と郊外だからできるゆったりしたな暮らしを満喫できたようです。
退去日は、1時間ほどの体験後インタビューにご協力いただき、滞在中に書いてもらった日誌やアンケートを提出してもらって、完了です。
そして、本当に移住してしまった方もいました。
2011トライアルステイ体験者インタビュー
ケース1:Sさんご家族(現在は、東京から移住、福岡在住)
久留米市田主丸町、森の中に佇むログハウス。 ――どういう経緯でトライアルステイ「ちくご暮らし」に応募されたのでしょうか?
東京で夫婦共にフリーランスの仕事をしていました。生まれたばかりの赤ちゃんがいるのですが、震災後にどこで子育てをするのかを真剣に考えるようになり、そんなときトライアルステイの告知を知りました。福岡には地縁はなかったのですが、同じ時期に友人家族も福岡への移住を考えていたのもありますし、何度か福岡に滞在したときに過ごしやすい環境だったので、一番の候補地になっていました。
――筑後地域は知っていましたか?
実は、全く知りませんでした。当初は福岡市への移住を考えていましたが、福岡R不動産でトライアルステイの募集を読んで、田主丸町の豊かな自然環境にとても興味を持ち、応募しました。運良く田主丸町の物件で滞在することができました。
オーナーさんから敷地の説明。3000坪もあるので、見渡す限り敷地。 ――滞在中の生活はどうでしたか?
滞在した物件の静かな環境で制作作業をすることができました。この機会を利用して、北九州や佐賀など九州近郊での仕事をできたのもよかったです。新鮮な野菜が食べられるのももちろんうれしかったですし、自分で食材を買ってきて、自分で調理をするという当たり前の生活を送ることができたのがよかったです。普通ならホテルなどへの滞在になり、外食になってしまうので。
――この体験居住中に、賃貸物件を探して契約し、移住することに決めたんですよね?
はい。体験居住して感じたのは、田主丸町は自然環境がとっても良いところで本当に住みたいのですが、病院が遠いなどの地理的なネックもあることです。自分たちにはもう少しそういった施設が近かったり、福岡空港へ行きやすい場所の方が合っていると思い、少し久留米市の中心地に近づいた場所に決めました。
近くの果樹園。 それにしても、体験居住中に物件を探して回り、移住を決めてしまうというSさんご家族の行動力にはぼくたち運営スタッフもびっくりでした。そして、全く知らなかった地域に、トライアルステイを通じて移住することに繋がったことで、このプロジェクトの意義を強く感じました。
ケース2:Yさんご家族(現在は、福岡中心部との二地域居住)
筑後市の巨大な農家住宅。 ――応募された経緯を教えてください。
福岡市内の大学で働いています。職場には毎日行くわけではなく、自宅で作業することも多い仕事をしているのですが、福岡中心部の自宅マンションは、大通りに近いので車や工事現場の騒音があり、時間のあるときは静かな場所で仕事の作業をしたり、くつろいだりしたいと思っていました。
地域のオススメをマップで説明。唯一のペット可物件です。 ――滞在中によく行った場所などあれば教えてください。
近くにある銭湯にはよく通いました。地図にも載っていないし、インターネットにも載っていない、幻の銭湯で、おじいちゃんが一人で毎日釜でお湯を沸かしているすごくレトロな雰囲気です。来ているのも近所のおじいちゃんおばあちゃん数人だけ。なんと入浴料が120円! 本当に気に入りました。あとは、犬とすぐそばの広域公園(福岡県内最大)を散歩したり、静かな家でゆっくり過ごしていました、家の中にいると、外の音が全く聞こえないというのが、都心に住んでいるのと大きく違います。
――体験を通じて、今後二地域居住をすることについて、どう考えましたか?
やはりこういった生活を続けていきたいと思いました。実は、体験居住したこの物件を今後も借りることができないか、オーナーさんにお願いしているところです。
(※このインタビューはトライアルステイ終了直後に行ったものです)
幻の銭湯。この物件に体験した人は誰もが病み付きに。 Yさんはその後オーナーさんからこの物件を借りることに成功し、福岡市と筑後市での二地域居住を始めました。当初はオーナーさんも長期的に貸すつもりがなかった物件でしたが、体験中に親しくなったのが大きかったようです。
2012もトライアルステイを実施検討中!
前ページで紹介した、実際に移住や二地域居住を決定した方以外にも、
「体験中には物件を見つけられなかったが、今後も探していきたい」
「体験を通して、探す物件の条件がより明確になった」
「筑後地域を知らなかったけど、その魅力を知れた。今後も通いたい」
など、ほとんどの方に高評価をいただくことができました。
トライアルステイはメディアからの注目度も高く、取材が入ったケースも。 逆に、「郊外ならではのネック(車がないと生活できない、虫が多い、建物の設備が古い etc.)を実感し中心部に住むことのメリットを改めて感じた」という意見もありましたし、「移住はしたいけど良い物件がなかなか見つからない」というハードルも見つかりました。
それらも全部ひっくるめてトライアルステイ、なんです。
退去日にお邪魔したら、スイカ割りしてました。 移住したいんだけど、郊外は賃貸物件が少ないし、いきなり物件を買って移住するのもハードル高い。ちょっとお試ししたいんだけどな~という方にはぴったりなこの企画。応募が多かったのも納得です。モニターの方にインタビューをする度に、自分も体験したいぞ! とうらやましい気持ちでいっぱいに。
そこで!
実は今年2012年もトライアルステイ「ちくご暮らし」の実施が検討されています。
正式なお知らせは6月初旬を予定しており、滞在の期間は、昨年同様7月下旬から10月下旬のうち2~3週間になりそうです。
このコラムを読んでくれた方に、耳より情報でした。
筑後の夏は今年も熱くなりますよ。