博多の物件のポテンシャルについてご紹介します。また、2月7日(土)~2月11日(水・祝)には空き物件を使用してハカタリノベーションカフェも開催されます!(イベントの詳細はこちら)
2011年にリニューアルした博多駅。商業施設としても人気です。 九州の交通のハブであり、九州最大級のオフィス街でもある博多エリア。
オフィスを構えるなら福岡市内外からアクセスの良いこのエリア、という企業は多いです。
博多駅からは福岡空港まで地下鉄で2駅5分。東京や海外へのアクセスは抜群。さらに、九州一の繁華街天神までも地下鉄で3駅6分です。
また、2011年に博多駅ビルがリニューアルし、さらに隣の郵便局跡地も現在再開発中。その上、地下鉄七隈線が博多駅まで延長することが決まり、ますます注目度が上がっています。
よく見ると味のある古ビルがたくさん。
一方、駅から大通りを渡ると大きなオフィスビルやホテルが立ち並んでおり、正直なところ用事がないと行かない場所という印象もあります。ただ、少し裏通りに入ると味のある古ビルが現れます。パっと見はただの古ビル。それが、僕らからすると「あの建物をゲストハウスに」「このビルの屋上でビアガーデン」など色々な妄想が膨らむ宝の山。
それぞれが個性的な味を出している古いビル。テンションが上がります。 そんな古ビルを活かして、ここ数年で面白い動きが起きています。今回はその中から3つの事例をご紹介します。
Case01 古ビルをゆっくりリノベーション
まずご紹介したいのが、博多駅から西へ徒歩10分に位置する築41年の古ビル「ブルク博多駅前」。12年前に現オーナーが見つけた当時は、ボロボロで空き部屋が多い物件だったそうです。それでも、手が届く価格と、博多駅・キャナルシティ間という立地、この物件がリノベーションされた状態を想像して、購入を決意したとのこと。
そして、空いている部屋から少しずつ12年かけてリノベーションをしていたので、1部屋ずつ全く違う表情をしているのが特徴。
それぞれの部屋が違うコンセプトでリノベーションされています。 多くは住居としてリノベーションした部屋ですが、募集してみるとエステやネイルサロンといった店舗、アートスクールやNPOのオフィス等が入り、建物には活気が出てきました。
また、オーナーは自らカプセルホテルと飲食店をこのビルで経営しています。というのも、2階の100坪の空間は広すぎて借り手がいないだろうと考え、駅前の立地を活かしてホテルを開業し、1階の飲食店もビルのイメージをつくるために始めたという経緯だとか。
現在ホテルは高い稼働率でまわっており、飲食店も近所の単身赴任者が常連になっているとのこと。博多駅という集客力のある施設が近くにあることで、自分たちで運営することも選択肢の1つになったそうです。
このように、空室の多かった古ビルでも、立地の特性を活かした形態にコンバージョン、リノベーションすることで、蘇らせることを実証してくれています。
外観もリノベーションしたブルク博多駅前。現在の空室は最上階(右上)と地下室(右下)。 Case02 新しい人の流れを作ったD&DEPARTMENT
次にご紹介したいのが、一昨年にオープンしたD&DEPARTMENT FUKUOKA。このお店が博多駅前1丁目に出店したことは大きな驚きでした。駅前とはいえ大博通りより東側は人通りが少なく物販を行うのは難しいというのがローカルの感覚。しかし、D&DEPARTMENTがオープンして、人の流れが変わりました。
古いタイルを剥いだ外観が印象的なD&DEPARTMENT。1階にはCOMME des GARCONSが。 お店の方に聞いたところ、この場所は目的がないと訪れない場所。しかし、そこがD&DEPARTMENTの「わざわざ訪れたくなるお店にする」というコンセプトにマッチしていたそうです。ここを目指して市外や県外、海外からもお客さんが来ているとのこと。
とは言え、人通りが少ないのは事実。そのため、この1年間は多くのイベントを行い、お店に来るきっかけ作りに力を入れていたそうです。自主企画である「ふくおかのひと」では福岡という土地に根ざして創作活動をしている人のトークと交流会。それ以外にもとどろき酒店やPLACERWORKSHOPとのイベント開催を始め、福岡の意外な一面を知る機会や新しい出会いの場を提供してくれています。
オープンして1年が経ち、お店周辺の意外な魅力も見えてきたそうです。それは神社仏閣や古民家が多く、歩いて気持ちが良い町並みと博多祇園山笠を代表とする博多の文化。福岡では歴史や文化を感じる場所が少ないため、この辺りは貴重なエリアです。
また、近くにある若八幡宮の厄払いの時期には女性のお客さんが多かったり、山笠の追い山の時にはオールナイトでの営業や地域清掃に参加したりと博多らしい動きも出てきています。
このように外からの風と地元がうまく繋がっているので、良い変化に結び付いているのでしょう。
様々な神社仏閣が集まっている博多駅周辺。 Case03 元住居が様々なNPOの拠点に
最後は住吉神社近くにあるNPOのシェアオフィス「びおとーぷ」。
はじめはNGOが中心でしたが、その後NPOや学生団体も入居し現在は11団体がシェア。そもそもの始まりは、NGOの全国フォーラムが福岡で開催され、様々なNGOが集まれる場所を作ろうということがきっかけ。
初代オフィスを平尾につくった後、より多くの人が来やすいようにと博多エリアに移転したそうです。天神も候補に挙がったが、市外や県外からのアクセスを考え博多エリアを選択したという経緯も。
ただし、博多駅周辺は賃料が高いことに加え、移転した9年前にはシェアオフィスをOKしてくれるところを探すのは大変だったそうです。そんな中見つけたのがこの古ビル。もともとは住居でしたが、リビングと個室に分かれている空間はシェアオフィスとしては逆に使いやすかったとのこと。
同じビルにはシェアオフィス(右上)だけではなく、アパレルのショールーム(右下)なども。 また、この古ビル、賃料が手頃なせいかシェアオフィスだけではなく、数部屋を使ってアパレル会社のオフィスとショールームがあるなど、面白いテナントが増えてきています。
博多エリアは立地が良いけど、賃料が高いというイメージがある人は多いと思います。しかし、彼らのようにいくつかの団体でシェアすることによって、この好立地なエリアにオフィスを構えることは可能ではないでしょうか。
住むという選択肢
今回、このエリアを散策していて気付いたのが、住環境としての魅力。オフィスばかりのイメージだったのですが、意外にいいです、博多駅周辺。
その一番の魅力は神社仏閣の多さ。福岡の都市部で緑というと大濠公園周辺というイメージですが、この辺りに緑は溢れています。
緑の向こう側にビルが立ち並ぶ住吉神社。この景色は贅沢。 また、オフィスとして利便性が高いということは住居としても便利。自転車で博多駅はすぐ、天神も10分ほどです。さらに雨の日も100円バスで移動できるのが嬉しいところ。しいて難点を言えば、スーパーが少ないことでしょうか。
博多エリアの魅力と課題
今回、博多エリアを見直してみて、その魅力は博多駅の利便性と、1日30万人以上が利用する駅の集客力。加えて、神社仏閣や山笠に代表される歴史と文化が根付いていること、そして古ビルを使った様々な面白い動きも魅力です。
その一方、個々としての面白さが、エリア全体には広がっていません。駅を出てまちを散策するという流れはまだできていないようです。歩いていて楽しいエリアになることがこれからの博多駅の課題ではないかと感じました。
博多エリア全体としての動き
そんな課題に対して、博多エリアも動き出しています。博多駅周辺をより良いまちにしていこうと、ビルのオーナーをはじめ、企業や自治協議会、行政などから成る「博多まちづくり推進協議会」が2008年に立ち上がりました。
駅前通りでのどんたくのパレード(左上)や駅前広場のイルミネーション(右上)、能楽堂でのライブ(左下)まちづくりのワークショップ(右下)など様々な取り組みが行われてきた。 これまでも博多駅の広場や道路、空き物件などでのイベントの開催や、周辺を散策するためのマップ作り、博多で働く人や住む人の学びの場「はかた大学」など様々な活動を行なっています。
個人的に興味をそそられたのが、はかた大学の授業で行われた神社での朝ヨガ。仕事前にヨガをすると頭が整理され、気持ちよく仕事ができそうです。
博多エリアの可能性を探る5日間
そして、この2月にハカタリノベーションカフェと称して空き物件を使用して2月7日(土)~2月11日(水・祝)の5日間限定でカフェをオープンします。
イベントに向けて、会場をDIYで作るワークショップ(実施済)。 期間中には、ドーナツ屋に古本屋、地域の産品のセレクトショップなど個性的なお店が出店。さらに建築家やデザイナー、プランナーなど様々なジャンルの専門家によるイベントを行われます。
今回ご紹介した事例のように、古ビルを活かしたプロジェクトの立ち上げ方や、魅力的な空間の作り方など、色々なヒントが散りばめられたイベントになるそうです。博多エリアやリノベーション、DIYに興味がある人は是非参加してみては?
イベントの詳細はこちらをご覧ください。